EPISODE
エピソード
お客様との大切な物語をご紹介します
EPISODE 1
こんな私でも、サプライズできますか?
ことのはじまりは、男性からのこんなお電話でした。
「ホームページを見て、結婚記念日を祝いたい」
お話を伺っていると、結婚30周年の節目の年。でも最近は、誕生日も結婚記念日もろくにお祝いをしたことがない。お祝いをしたくないわけではない。ただ、どうしたらいいのかわからない…というのが本音のようでした。
たまたま見つけた口コミを見て、色々な方がこの宿で記念日を過ごした喜びの声を読んでいるうちに、自分にも出来ればと思ってご連絡を頂けたようでした。
そこで、私たちの宿のアニバーサリープランをおすすめしました。
ケーキには【結婚記念日おめでとう】のメッセージを。ワインにも、【祝30周年】のオリジナルラベルを作成。お刺身はお祝い用の豪華な盛合せもつきます。が、それでも、なんだか少し内容が寂しく感じてしまったのです。
そこで、こんなご提案をさしあげました。
『もし宜しければ奥様にお手紙を書いてケーキと一緒にお渡ししませんか?』
予想外の宿からの提案に、そういうのはなかなかできないよと初めは断られてしまいました。
それでも、一言でもいいのでとお願いをしてご了承をいただきました。そうしてご宿泊当日、お手紙をお持ちいただくことに。
男性からのお祝い旅のプレゼント。当日の奥様は、とっても楽しみでいらっしゃったようです。
私たちも、事前のお打ち合わせ通りに夕食時にワインをセットし、夕食後にはお部屋にケーキとお手紙を準備。内容を再確認し、いざ夕食スタート。
ワインラベルを見た奥様のご表情。驚きと嬉しさが込み上げていることは、私達にもすぐにわかりました。
お祝いのお刺身なども提供し、終始和やかにお食事も後半に差し掛かってきました。
私達スタッフは、このタイミングでお部屋にケーキをお預かりしたお手紙をセット。準備万端です。
ところが、食事処へ戻ると異変が…。
奥様が、心配そうにしているのです。
あんなにお酒が大好きな主人が、後半からあまりお酒が進まず口数も減り、体調が悪いのかもしれないと。
私たちはすぐに気が付きました。
男性は間違いなく、この後のお部屋で起こるビックイベントを控えて落ち着かずにいる。
奥様にここで気づかれてしまってはまずいと、お二人とお話をしながら緊張を解き、そしてお部屋へと戻っていきました。
お部屋へ戻ったあとの事は――想像ですが、きっと奥様は感謝と幸せな気持ちでいっぱいになったことでしょう。
翌朝の奥様は、昨日よりも元気いっぱい。昨日の出来事をうれしそうにお話し頂き、男性も照れ臭そうに、でもなんだか嬉しそうな表情に私達もうれしくなりました。
こうして、1組のお客様のサプライズも大成功に終わりほっと一息。
数日後、男性からこんなメールを頂戴しました。
『妻があんなに嬉しそうな表情で過ごした宿での時間は、忘れられません。色々相談に乗って頂き、本当にありがとうございました。来年もお世話になります。』
私たちにとってこの上ない最高の言葉を頂き、この物語は来年も続きます。
EPISODE 2
おみやげ話を聞いてこの宿に決めてよかった
ご夫婦のご予約を頂きました。
どうやら、ご招待旅行でのご予約だった様子。
後日お電話でお話しをお伺いすると、ご両親へ日頃の感謝を込めての旅行のプレゼントをしたい、という内容でした。
お電話越しの方の声はお若く、就職をしてお給料を初めてもらい、そのお金でご予約を頂いたようです。
ご両親の年齢やお食事のアレルギー等、一通りお聞きしていると、当日はお母様のお誕生日との事。お母様が大好きな、黄色の花の花かごの手配も頂きました。
旅行を失敗したくないご様子で、旅館のお部屋の作りや料理の内容などをたくさんご質問頂きました。
はじめてのプレゼントの旅行を特別にしたい。そんな意気込みがこちらにも伝わってきました。
旅行当日。
娘さんからのご招待で両親がお泊り頂き、娘さんがこの旅行を計画してくれたことなど、色々とお話をお伺いしました。
ご夕食時には、娘さんからの花かごのプレゼント。それを飾りながら、お食事を楽しんでいました。
1泊2日の旅は、あっという間に過ぎ帰路へ。
その後、娘さんから旅館で過ごした事を嬉しそうに話す両親を見て、お礼のお電話も頂きました。
そして今度は、娘さんも一緒に泊まりたいと、次回のご予約も頂きました。
ご両親を大切に思う娘さんとのご対面が、今から楽しみです。
EPISODE 3
代々受け継ぐ旅への想い
リピーターのお客様の中には、こんな旅への想いを受け継ぐ方がいらっしゃいます。
1990年に創業した頃、たくさんの常連のお客様がいました。
最初はご夫婦でお越しになる事が多かったのですが、ある日、息子さんを連れてお越しになられました。
ご夫婦でいらしたりご家族を連れていらしたりと、本当にたくさんご宿泊頂いておりました。
そんなある日、息子さんから突然の悲しみの知らせが…。
実は、先月お父様が亡くなったと。
悲しいお知らせに言葉を失いましたが、続けて、「親父が良く通ったこの宿で久々に皆で集まろう」と話していると。
ご宿泊当日、亡くなったお父様と宿スタッフしか知らないエピソードなどもお話しさせて頂き、それはそれは盛り上がり素晴らしい時間を共有できました。
「悲しい出来事だったけれど、それでも親父が通ったこの宿にまた来たかった」
「そしてこれからは、私たちが代わってこの宿に通います」
そんな素敵なお言葉を頂きました。
今ではお子様も生まれて、家族も増え世代が代わっても代々通わせて頂きます!と言って頂いてます。
その期待に応え続けられるように、私たちも進化し続けなくてはいけない。そう心に決めたエピソードでした。